エストロモンの副作用について知っておこう

 

エストロモンは、女性ホルモンであるエストロゲンをおぎなうための医薬品です。エストロモンを服用することで、エストロゲン不足からくる体の不調を改善する効果があるのです。女性ホルモンをおぎなうという目的のため、長期服用になりやすいという特徴があり、副作用が心配だという人もいるかもしれません。

 

ここからは、気になるエストロモンの副作用について

 

  1. 副作用が出る確率・頻度
  2. どんな症状が副作用にあてはまる?

 

という2点を見ていきましょう。

 

 

エストロモンの副作用確率・頻度はどうなの?

 

医薬品には添付文書がついていて、それらのほとんどに副作用の確率が記載されています。しかし、エストロモンの先発品「プレマリン」の添付文書を見ても、副作用の確率をしめすようなデータは確認できません。

 

そのため、「ルトラール」というホルモン剤(プロゲステロン製剤)で、副作用の確率を確認してみましょう。

 

薬品名

副作用発生確率

ルトラール

10.5%(19例中2例)

参考ページ:ルトラール添付文書

 

↑を見ると、ルトラールの副作用確率はおよそ10%であることがわかります。ただし、19件しかサンプルデータがないため信頼性に疑問があり、エストロモンとおなじと考えてよいかはむずかしいところです。とはいえ、参考程度にはなるでしょう。

 

この「10%」という数値は高いのか、ちょっと理解できないという人もいるでしょう。そこで、一般的によく利用されている医薬品とくらべてみましょう。

 

医薬品種別

副作用の確率

プレマリン

約10%程度(予想値)

抗生物質(クラビット、クラリスなど)

約3~4%程度

解熱・鎮痛剤(NSAIDs:ロキソニン、ボルタレンなど)

約3~10%程度

抗不安薬、睡眠薬(デパス、アモバンなど)

約7~10%程度

プロトンポンプ阻害薬(胃酸を抑える薬)

約12~20%程度

SSRI(抗うつ薬)

約40~70%程度

 

↑はよく利用されている医薬品と比較した一覧となります。あくまでもデータ上の数値であり、ぜったいに正確とはいいきれませんが、エストロモンの数値と近いのは、抗不安薬や睡眠薬、解熱・鎮痛剤などです。プロトンポンプ阻害薬やSSRIと比較すると、かなり低い数値だといえます。また、副作用出現率はとくべつ高くもなく、低くもなくといったデータとなります。

 

エストロモンの副作用ではどんな症状が出る?

 

つぎに、エストロモン服用中に副作用がでた場合、どんな症状があるのかを見ていきましょう。

 

電解質代謝~むくみ、体重増加など~

 

電解質代謝 ナトリウムや体液の貯留(浮腫、体重増加等)

 

エストロゲンの作用はいろいろとありますが、なかでも「水やナトリウムを体にためこむ」というはたらきがあります。エストロゲンによって、ナトリウムは腎尿細管の再吸収がうながされ、体のなかのナトリウムを一定に保つことができるのです。

 

エストロゲンは女性ホルモンであるという特徴から、女性がより水分を体にためこみやすい体質となっているのです。さらに、塩分をとりすぎれば、むくみやすくなる人もいるでしょう。このように、女性がむくみやすいのは、女性ホルモンが影響しているのです。

 

エストロゲンそのものといえるエストロモンは、服用することで体のなかのエストロゲンを増加させます。そのため、どうしても体内に水分がたまりやすくなってしまうのです。さらに、エストロモンを大量に継続して服用してしまうと、そのぶん水分もたまり続けることになり、体重が増加したり、むくみがでてしまうのです。

 

このように、むくみは塩分によっておこることが多いのです。そのため、まずは塩分を控えるという対策をとるべきでしょう。それでも、むくみが改善しない場合は、医師の診察をうけることをおすすめします。

 

生殖器・乳房~不正出血、胸の痛みなど~

 

生殖器 帯下増加、不正出血、経血量の変化
乳房 乳房痛、乳房緊満感

 

エストロモンが有効な疾患として「機能性子宮出血」がありますが、副作用のなかに「不正出血」があることを疑問に感じる人もいるでしょう。すでに解説していますが、機能性子宮出血には、

 

消退出血 → 女性ホルモン減少によって起こる出血
破綻出血 → エストロゲン過剰が原因で起こる出血

 

という2パターンあるのです。そして、エストロモンでの治療が有効なのは「消退出血」です。破綻出血の場合、エストロモンを服用してしまうと、かえって逆効果となってしまいます。

 

また、エストロモンによってエストロゲン過剰となった場合、破綻出血のリスクがあります。この破綻出血という症状が、エストロゲンの副作用である不正出血なのです。

 

エストロゲン過剰が原因となる症状のひとつに、乳房の副作用もあります。余分なエストロゲンによって、乳腺症リスクが高まり、胸に痛みがでてしまうことがあります。また、緊満感がでるという人もいます。

 

いずれも原因はエストロゲンの過剰にあります。そのため、一般的な対処法としては、エストロモンの用量を少なくするといった方法があります。適切な量については判断がむずかしいため、医師のアドバイスをうけるとよいでしょう。

 

自律神経~腹痛、吐き気、めまいなど~

 

消化器 腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振、膵炎
精神神経系 頭痛、めまい

 

エストロモンには自律神経にかかわる作用があるため、服用することによって自律神経バランスがくずれることがあります。

 

自律神経には交感神経と副交感神経があり、休みなく無意識にはたらく神経全般のことをいいます。交感神経と副交感神経のバランスがうまく調整されていると、

 

  1. 心臓や呼吸
  2. 血圧
  3. 胃腸
  4. 膀胱
  5. 子宮

 

のはたらきがコントロールされます。

 

女性ホルモンのバランスがくずれると、脳の視床下部のはたらきも悪くなります。視床下部は自律神経を調整しているため、自律神経をうまくコントロールできなくなることがあります。

 

その結果として、

 

  1. 頭痛
  2. 耳鳴り、めまい
  3. 吐き気・嘔吐、腹痛、口の渇き、便秘・下痢
  4. 血圧低下(低血圧)
  5. 呼吸の乱れ、呼吸困難
  6. 不安感、緊張感
  7. イライラする、怒りっぽくなる
  8. 睡眠障害(不眠症)
  9. 摂食障害(拒食症・過食症)

 

といった症状が出やすい状況になります。

 

エストロモンはエストロゲンをおぎなうことでエストロゲン不足による症状を改善しますが、同時に女性ホルモンの分泌量を変化させてしまいます。そのため、自律神経をうまくコントロールできなくなり、さまざまな症状がでることがあります。また、エストロモンにはむくみの副作用があるため、摂食障害が同時にでた場合、極端に体重が増えてしまうこともあります。そのため、食生活にはじゅうぶん気をつけなければなりません。

 

ただし、エストロモンで自律神経の症状がでることはまれです。しかし、もし症状がでてしまったら、すぐに医師の診察をうけましょう。服用を中止するか、服用量を減らすなどして、適切に対処する必要があるからです。

 

肝臓~肝機能障害など~

 

肝臓 肝機能障害(AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P上昇等)

 

医薬品は服用後に血中濃度が上昇していき、最大になったあとは少しずつ血中濃度がうすくなります。このように血中濃度が変化するのは、薬成分が肝臓によって代謝・排泄されるというしくみがあるからです。

 

肝臓が正常にはたらいているからこそ、薬成分が代謝・排泄されるわけですが、肝臓に負荷がかかるというリスクもあります。そのため、多くの医薬品は、肝臓の数値であるASTやALTを上昇させてしまいます。それは、エストロモンも例外ではありません。

 

肝機能障害(AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P上昇等

 

という内容が、先発品(プレマリン)の添付文書に記載されています。

 

肝臓の数値が正常な人なら、それほど気にする必要はありません。しかし、もともと肝臓の数値が高い人がエストロモンを服用した場合、さらに数値を上昇させてしまうことがあります。深刻なレベルになると、肝機能障害を発症するリスクも高まってしまいます。もし、肝臓にかかわる数値に異常があるなら、健康診断などで指摘をうけるはずです。そういった人がエストロモンを使用するなら、注意深く服用しなければなりません。

過敏症~発疹・蕁麻疹やかゆみなど~

 

過敏症 発疹、蕁麻疹、血管浮腫

 

一見、エストロモンとは無関係のように思えますが、じんましんや発疹、かゆみなどがエストロモンの副作用としてでることもあります。このような症状のほとんどが「薬疹」であると考えられます。エストロモンが体内に入りこむことで、体がそれを異物ととらえてしまい、過剰反応を起こしているのです。

 

薬疹は、薬の成分にたいして、体がそなえている免疫機能が攻撃することによっておこります。このような過敏症のリスクは、ほとんどの医薬品にあるといえます。たとえば、身近に市販されているビタミン剤や風邪薬であっても、薬疹の症状がでてしまう人がいるのです。

 

薬疹になってしまう理由は、体質にあります。そのため、運悪く発症してしまったら、体質のせいだとあきらめるしかありません。ただ、薬疹がおこるのはかなり低確率です。万が一、発症することがあれば、その後のエストロモンはいっさい服用禁止となるため注意が必要です。

 

皮膚~色素沈着、脱毛など~

 

皮膚 色素沈着、脱毛
呼吸器 呼吸困難

 

エストロモンの副作用は、皮膚にあらわれるケースもあります。

 

エストロモンは、女性ホルモンをおぎなう医薬品であるため、服用することによって肌トラブルがあらわれることがあります。たとえば、色素沈着や肌荒れなどの症状です。

 

影響は頭皮におよぶこともあります。その場合、脱毛という症状がでることもあります。

 

このように体の表面にあらわれる症状は、精神系の症状と比較して、周囲の目が気になるものです。対処法としては、エストロモンを中止するか、服用量を減らすという方法もあるため、選択肢のひとつとして検討してみてもよいでしょう。

 

「重大な副作用」を確認

 

確率としてはかなり低くなりますが、エストロモンによって深刻な副作用がでることがあります。

 

・血栓症のリスク
エストロモンを服用することで、血栓が発生しやすくなるケースがあります。その結果、血栓症や血栓塞栓症のリスクが高まります。

 

さまざまなはたらきをもつエストロゲンには、血が固まりやすくなる作用があります。女性には生理があるため、どうしても出血する機会が多くなります。その影響を最小限にするために、そなわった作用だといわれています。

 

エストロモンを服用中は、エストロゲンが増加するため、血液が固まりやすい状態になります。つまり、血栓ができやすい体になっているといえます。エストロモンは長期服用しやすい医薬品であるため、そのぶん血栓症や血栓塞栓症になるリスクを高めてしまうことになります。

 

足のしびれ・痛み、呼吸困難・息切れ、胸の痛み、めまい、視力障害

 

↑は血栓症を発症した場合の初期症状です。このような症状がいくつか重なって見られた場合は、血栓症を発症しているかもしれません。すみやかにエストロモンの服用は中止して、医師の診察をうけましょう。

 

まとめ

 

ここまでに、エストロモンのさまざまな副作用を紹介しましたが、そこまで頻繁に副作用がでることはありません。しかし、「自分には関係ないだろう」と油断しすぎるのも問題です。過度に心配する必要はありませんが、副作用の知識をもっておくことが大切です。

 

 

↑はとくに多くでる症状になります。これらの症状は、過剰なエストロゲンが原因となっていることが多いと考えられます。そのため、いずれかの症状がでた場合は、エストロモンを中止するか服用量を減らすなどの対処法をおこなうのが一般的です。

 

もともと肝臓に問題がある人がエストロモンを服用する場合は、慎重に服用しなければなりません。エストロモンは肝臓に負担がかかる医薬品であるため、症状悪化となる可能性があるからです。服用するのであれば、リスクを知ったうえで、注意深く服用するようにしましょう。