妊娠中・授乳中のエストロモン服用の可否

 

妊娠中や授乳中の場合、ふだんよりも医薬品の影響について気になる人がほとんどでしょう。そんなとき、女性ホルモン剤であるエストロモンについて、より不安に感じるかもしれません。

 

エストロモンについて知るために、まずは先発品「プレマリン」の添付文書を確認してみましょう。エストロモンはプレマリンと同成分なので、プレマリンの添付文書を参照すればさまざまなことがわかります。

 

禁忌:妊婦又は妊娠している可能性のある女性
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
卵胞ホルモン剤を妊娠動物(マウス)に投与した場合、児の成長後腟上皮及び子宮内膜の癌性変性を示唆する結果が報告されている。また、新生児に投与した場合、児の成長後腟上皮の癌性変性を認めたとの報告がある。
参考ページ:プレマリン添付文書

 

↑は添付文書に記載されている内容です。妊娠中・授乳中のエストロモン服用は禁忌となります。これは、エストロモンを妊娠中・授乳中に服用した場合、じゅうぶんな安全性が確認できていないという理由からです。

 

ほかにも判断材料はあります。それが、アメリカの「FDA薬剤胎児危険度分類基準」です。FDAは日本の厚生労働省にあたる機関であり、妊婦や授乳婦、胎児や乳児への医薬品の影響について基準をもうけているのです。

 

FDA薬剤胎児危険度分類基準

カテゴリー 危険性 妊娠中・授乳中の服用
A 危険性が全くない OK
B それほど危険性はない たぶんOK
C 多少危険性があるかも 場合によってはOK
D かなり危険性あり どうしても必要な場合以外NG
X 禁忌 NG

 

↑のように基準は、A、B、C、D、Xの5段階にわけられています。このなかで、エストロモンは「X」にふくまれます。これは、授乳中や妊娠中の使用は厳禁とされる医薬品であるということです。つまり、アメリカでは、かなりリスクが高いと判断されている医薬品だということです。

 

また、たばこやアルコールにかんしては「D」となります。妊娠中や授乳中は、たばこやアルコールを控えるという考えが一般的ですが、それは体に悪い影響をあたえることが広く知られているからです。しかし、エストロモンはそれ以上に危険性が高いということです。

 

エストロモンを飲んでいる間に妊娠に気づいたらどうする?

 

妊娠中や授乳中にエストロモンを使用するのはぜったいにやめましょう。アメリカでの評価でも、添付文書でも、絶対NGとなっているのですから、高リスクなのはまちがいありません。しかし、妊娠前からエストロモンを服用していて、妊娠に気づかないまま服用してしまったというケースもあるでしょう。この場合、妊娠した日から妊娠に気づく日までの期間に、エストロモンを服用してしまったことになります。

 

しかし、そのていどの短い期間であれば、それほど深刻に考える必要はないでしょう。もちろん、危険性が高いことに変わりありませんが、実際に影響があらわれる確率は低いからです。リスクがあるという観点から、服用厳禁というルールがつくられているだけで、かならずしも母体や胎児に悪影響がでるわけではないのです。それよりも、精神的なダメージのほうがずっと大きな問題です。考えすぎてストレスをためてしまっては、母体にも胎児にも悪い状態だといえるからです。

 

もし、エストロモン服用中に妊娠に気づいたとしたら、その時点で服用は中止しましょう。そして、医師の診察をうけることをおすすめします。とにかく、いったん気持ちを切り替えて、あまり気にしすぎないことです。

 

授乳中の影響についても考えよう

 

エストロモンを服用すると、母乳にはエストロモンの成分がふくまれてしまいます。その状態で授乳をすれば、乳児の体内にその成分がはいってしまうことになります。母乳に含まれる薬成分はひじょうに少ないですが、成人とくらべて乳児の体はとても小さいのです。そのため、危険性はかなり高いといえます。

 

しかし、授乳中であれば、妊娠中と違ってリスクを避けることができます。妊娠中、母体と胎児はへその緒によってつながっていて、どうしても薬の影響をうけてしまいます。いっぽう、授乳中であれば、母乳を飲ませないことで、エストロモンの影響を完全に切り離すことができるのです。つまり、エストロモンを服用中であれば、授乳の代わりにミルク育児をすればよいのです。最近では、あえてミルク育児を選択する人も増えているほどです。授乳できないからといって、後ろ向きに考えることはないのです。

 

ただ、「どうしても赤ちゃんを母乳で育てたい」と考えるのであれば、エストロモンの服用はやめましょう。

 

初乳はあげるようにしよう

 

また、ミルク育児に切り替えた場合でも、ひとつだけ実行してほしいことがあります。それは、初乳だけは与えるということです。初乳とは、出産後の2~3日の間に飲ませる母乳のことをいいます。そして、この初乳には「免疫グロブリンA」という成分が含まれていて、お母さんの免疫を赤ちゃんに分け与える重要な役割をもっているのです。

 

そのため、ミルク育児をする場合でも、出産後すぐにエストロモンは飲まないようにしましょう。初乳をあたえてしまえば、エストロモンを服用しても問題ありません。このポイントだけおさえておき、ミルク育児に切り替えれば、その後の赤ちゃんへの影響を避けることができるのです。