エストロモンの避妊効果や低用量ピルとの違い

 

エストロモンは、卵胞ホルモン・エストロゲンという女性ホルモンをおぎなうために処方される医薬品です。女性ホルモンにかかわる医薬品ときいて、低用量ピルをイメージする人も多いでしょう。低用量ピルは避妊を目的として処方されることがあるため、エストロモンにもおなじ効果を期待する人もいるでしょう。

 

ここからは、避妊のためにエストロモンが効果があるのか、低用量ピルとの違いはどうなのか、という視点から見ていきましょう。

 

エストロモンと低用量ピルの違い

 

はじめに確認しておきたいのが、「ピルとエストロモンがどう違うのか」という点です。そもそも、ピルとはどんな効果があって、どんなとき処方されるのでしょうか。

 

ピルとは、女性ホルモン剤のことをいい、卵胞ホルモン・黄体ホルモンのふたつを配合したものです。

 

卵胞ホルモン(エストロゲン) 女性らしい体をつくる
黄体ホルモン(プロゲステロン) 妊娠しやすい体をつくる

 

↑はふたつの女性ホルモンのおもな特徴です。エストロゲンとプロゲステロンを含むピルは、女性ホルモンが影響する症状に効果があります。たとえば、不正出血や生理不順など、はばひろい症状に使用されています。また、避妊薬としても効果があります。

 

そして、エストロモンは、エストロゲンをおぎなうための医薬品です。エストロゲンも妊娠に関係する女性ホルモンですが、プロゲステロンとくらべると影響力は小さいといえます。そのため、避妊薬としての効果はそれほど高くありません。

 

エストロモンに含まれる結合型エストロゲンは天然のもので、馬の尿からつくられています。いっぽう、低用量ピルには、合成エストロゲンが含まれています。この合成エストロゲンは、天然のものより体内活性能力が高く、その差は100倍以上となります。

 

ただ、エストロゲン量だけに注目すると、含有量が多いのはエストロモンなのです。たとえば、低用量ピルなら1錠あたり50μg以下ですが、エストロモンなら625μgと、かなり違いがあります。けれども、活性の差が100倍以上あるため、低用量ピルの1/7の力でしか、エストロモンのエストロゲンははたらくことができません。したがって、避妊のために必要となる女性ホルモン量を満たしておらず、避妊効果は期待できないのです。

 

このような理由から、避妊目的としてエストロモンだけが処方されることはないのです。避妊のために使用するなら低用量ピルが適しており、エストロモン単体での避妊効果は期待できないでしょう。

 

緊急避妊に利用できる可能性はアリ

 

ただ、エストロモンが緊急避妊目的で使用されることはあります。エストロモン8錠以上を1回で服用すると、女性ホルモンを急激にふやすことができ、緊急避妊効果があると考えられています。

 

しかし、あえてエストロモンを使用する必要はないといえます。なぜなら、緊急避妊だけを目的とした医薬品があるからです。エストロモンでの成功率について、明確なデータもありません。そう考えると、緊急避妊目的であえてエストロモンを使用することは推奨できないといえます。

 

エストロモンと低用量ピルの併用はアリ?

 

以下は低用量・中用量ピルとなります。

 

低用量ピル オーソ、シンフェーズ、ルナベルトリキュラー、ラベルフィーユ、アンジュ、マーベロン、ファボワール、ヤーズ配合錠
中用量ピル プラノバール、ソフィア、ルテジオン

 

エストロモンとの相性はそれほど悪くなく、いずれも併用OKとなります。

 

ただ、場合によっては副作用がでる可能性もあります。エストロモンとピルには、女性ホルモンをおぎなうという共通の目的があります。もし、更年期障害の治療などのためにエストロモンを服用している人が、医師への相談もなくピルを併用してしまった場合、強い副作用がでるといったリスクが考えられます。これは、エストロモンとピルの併用によって、女性ホルモンのバランスがおおきく崩れるからです。
ピルを服用する目的の多くは「避妊」であるといえます。そうなると、エストロモンから低用量ピルに切り替えるケースが多いはずです。くり返しになりますが、低用量ピルのエストロゲン作用は、エストロモンと比較するとかなり強いのです。そのため、ピルだけで効果はじゅうぶんであり、さらにエストロモンを服用したとしても、ほとんど意味がないのです。ただ、ピルのエストロゲン量は、エストロモンよりずっと多いため、そのぶん副作用リスクが高まるといったデメリットもあります。

 

とはいえ、治療法のひとつとして、エストロモンとピルを併用するケースもあります。月経過多や生理不順を治療するための「カウフマン療法」といわれる方法では、1か月のなかで21日間エストロモンを服用して、残りの10日間はプロゲステロン製剤のデュファストンなどを服用します。こうして、女性ホルモンのサイクルを自然な状態にもどしやすくするのです。このカウフマン療法に近い状態をつくるために、プロゲステロン製剤をピルと置き換えて使用することがあります。エストロモンとピルは、生理をコントロールするなどの目的で併用されるケースもあるのです。

 

ただ、どんな状況であっても、エストロモンとピルを併用する場合は、きちんと医師の診察をうけましょう。素人判断は危険であり、医学的な知識がないままの併用はさまざまなリスクを高めるからです。もちろん、避妊目的であっても、医師に相談することが大切です。